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naruming Diary

雑記・いろいろ感想

君を殺した夜≪夜光花≫  

引き続き夜行花さんの作品です。
教師・幼馴染…ってとこが萌えポイントなんですかね。

テキトーにあらすじ。
数学教師、吉井幸也の勤める中学に、樋口聡が新任教師としてやってくる。聡と幸也は子供の頃隣同士に住む仲で、中学生の頃、幸也を好きだと言った聡に幸也は惨いことを言う。
「ここから飛び降りることができたら、お前のこと好きになってもいいぜ」
そして聡は歩道橋から飛び降り…。二人は教師として再会するも、そのことがトラウマになっている双方。加害者側の幸也は、聡に償いたいという意思はあるものの、子供の頃から聡に抱いていたコンプレックスはまた蘇り。また加害者である故に、被害者・聡からのどんな強引な要求にも飲まざるを得ず…。

とまぁそういう感じの話です。
前回読んだ『跪いて、永遠の愛を誓う』同様、ウケは攻め男に物凄い劣等感を抱いております。どうやらこの作家さんの得意分野なのかな、とさえ思うくらい。
でもってそれが丁寧に描かれているので真剣に読みふけってしまい、時にホロリとさせられたり~でした。
幸也のコンプレックスはとてもわかりやすい。
近くに優秀な聡がいて、父親にまで比較され。
聡自身は小さい頃はいじめられっ子だったはずなのに、いつのまにか自分よりカッコよく、たくましく、大きくなっていくわけで。
いろんな面で自分の器の小ささを突きつけられて、吐き出したくても吐き出せないままでいて、挙句聡を傷つけた分、同じように自分も傷つくわけです。
聡の前からいなくなったのは自分の意思ではなかったにしても、連絡を取らなかったのは逃げたも同じ。
だけど、聡のいない状態はとても見せかけ平穏な『何事も無い』穏やかな日々で、逆に言うと『何もない』日々で。
再び聡と会うことで、いろんなことが思い出される。
自分の醜い一面。
聡に対する嫉妬、やっかみ。
穏やかではなくなる日常。
その葛藤がとにかく丁寧に描かれているわけです。

文章の中に、思い出のように出てくる中学の頃の話。
それらと絡み合いながら物語が進行していきます…これも上手いんだ。
ぐいぐいと引き込まれて、やっぱりな、という聡の気持ちも予想はできたんだけど(ってまた予想通りか、ですが)、その辺もひっくるめてよかったです。
ちょっと切なくて、苦くて。何もかも上手くいくような綺麗なハッピーエンドではないんだけど、それをちゃんと保証してくれるようなエンドマーク、でした。

この作品が終始書いていることは
『思っていることは常に自分のこと、知っているのは自分の気持ち』
という気がします。
幸也の心の中の醜い感情は、多分聡は知らない。知ったらきっとこんなに自分のことを好きじゃなくなるだろう、だから自分はいい方向に向きたい、と思うようになった幸也は変わろうとする。ということは、醜い部分は最後まで聡は知ることはないのじゃないかと。
逆に、どんなに聡が幸也を好きでも、その気持ちは何となくわかるんだろうけど、その思いの深さってのは多分幸也の想像以上なんじゃないかと。
それでいて、那美(幸也の付き合っていた彼女)についても、最後の方まで彼女の感情を思ってやることのできなかった幸也で。
幸也は基本的に『相手の立場に立って考えることが苦手』という設定なんだけど、それ以外のキャラも案外相手の立場を思いやって動いているようには思えなかった次第で。
那美も自分勝手な行動を振舞ってしまったし。
そう考えると、どのキャラも責任持てるのは自分のことのみだろ、って言っているような気がしてならなかったです。
そういうところが妙に好きだなぁと感じたのだけど。
人ってそうじゃない?て思うので。
そういうリアルさが妙によかった。

難点は、エンディングがさらりとしすぎて(^_^;)。わーここまで盛り上げた割にはあっさり、と。最後に漬物で締めたのはいいけど、本音はお茶菓子まで欲しかったかも、な気分です。

ところでこの作品中にこんな風なセリフがありました。
親とのトラブルで自殺をしようとした子供について校長が語るセリフです

『子供というのは、私たちには信じられないくらい無力で視野の狭いんですよ』
『私たちがもっと広い世界があることを教えてあげなければ』

昨今のいじめで自殺しちゃう子のことを思い浮かべてしまいました。
そういう子たちに是非届いてほしいなと思った次第で。
世界は、広いんだよ、と。
でもって時間は止まってない、と私は思うわけで。
何だかジーンとしたセリフなのでした。
(1/10読了)

オンライン書店ビーケーワン:君を殺した夜

Posted on 2007/01/15 Mon. 18:15 [edit]

category:

thread: BL小説 - janre: 小説・文学

tb: 1   cm: 4

コメント

夜光花さんの書くほんは
受けがワケ有とかなんかこう劣等感かんじてたりとか、攻めが受けに異常なほど執着していたりとかそういう設定多いですね。

本の僅かに毛色の違うのが「灼熱を呼べ」のシリーズなのかな~?
でもやっぱりこれも攻めの受けへの執着はかなりのもん(笑)

これはまだ買ってないので早めに買いたいと思ってます
では!

URL | Jura #l/VZmCVM
2007/01/15 23:35 | edit

こんにちは、Juraさん

>受けがワケ有とかなんかこう劣等感かんじてたりとか…

確かに!それは私も思ってました。
でもってワタシ的にはそこが好きだったりします。

『灼熱を呼べ』は未読ですが、それもそういう系の話なのですね。
機会あれば読んでみたいなぁ。

前回の『跪いて…』は笑えるシーンもあったりしましたが、今回はひたすらウケの鬱々とした感情がメインです。
その分重いなぁとも感じるわけですが、私は嫌いじゃないですね。

何よりも、この作品の好きな部分はそれぞれの感情。
皆、自分のことばかりで、自分で精一杯だよね、と思わせてくれる部分が好きです。

手に取る機会があれば、是非vv

URL | ナルミ #w6XFEYVU
2007/01/16 17:15 | edit

ナルミさん、こんにちは。

私この作品大好きです。
元々夜光花先生好きなんですが、その中でもこれが一番だなと思ってます。
(ちなみに、次点は「不確かな抱擁」です。何故って激萌えるから(笑))

夜光花作品は大概主人公が極度のネガティブ思考ですよね。
だからこそ悶々とした思考がひたすら続き、読み応えがあるのですが。
>そういうリアルさが妙によかった。
私もそう思いました。
その狡さや醜さも人間くさくて痛い。
でもそこが良いんですよね。

TBさせていただきました。
それではまた~

URL | にゃんこ #fwkSvwQ6
2007/01/17 11:30 | edit

こんにちは、にゃんこさん。
私は夜光花さんの作品を続けて3冊読みましたが、好きです。
読みやすいし。

>悶々とした思考がひたすら続き、読み応えがあるのです
同感です。だから好きなのかもしれません。

3作読んでみて、話の内容とキャラの出来だとこの作品が一番だと私も思います。
展開で笑えたのは『跪いて~』。
『不確かな抱擁』は、出だしのミステリータッチな部分が面白かったです。

TBありがとうございました。

URL | ナルミ #w6XFEYVU
2007/01/17 21:07 | edit

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にゃんこのBL徒然日記 | 2007/01/17 11:32

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